カヤック日記


2022年2月の出来事

写真:冬ならではの透明度です。













写真:冬ならではの透明度です。

今月もTwitterでアップしてきた内容を追いながら、いろいろ書いていきたいと思います。
Twitterでは文字数制限もあり、表現が雑だったり、省いたことも多いのでそれも補充してあります。
写真も見てみようと思った方はリンクでその日のTwitterに行けますのでご覧ください。

1日
初めての生物に遭遇しました。
海岸に打ちあがった状態では全く何なのか判りませんでしたが、クラゲっぽいように思い、調べたところバレンクラゲと判明しました。
生きているようだったので観察するために容器に海水と共に入れてみましたが非常に脆く、バラバラになってしまいました。
しかし、それらパーツそれぞれが個体ということでバラバラになってからもそれぞれが動き続けているのがなんとも言えない奇妙な感じでした。
英名はHula Skirt Siphonophoreといい「フラのスカートクダクラゲ」という、なるほどと感じられる名称でした。
和名は馬簾で、これももなるほどという感じですね。
インターネットで見た生きてる時の姿はとても素敵でした→Roberts Lab
次回は海の中で是非出逢いたいです。
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2日
去年、初めてスナハマハエトリに遭遇したのは1月31日でした。
それで今年は越冬明け初日がいつになるのかな?という興味があり、スナハマハエトリの生息地いくつかに通っていましたが、今日やっと見つかりました!
去年初めて遭遇した場所のすぐ近くでした。
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写真:カガリビコモリグモという美しいクモも見つかりました。春が待ち遠しかったことでしょう。













写真:カガリビコモリグモという美しいクモも見つかりました。春が待ち遠しかったことでしょう。

4日
海上保安庁のメールでクジラ漂流情報がありました。
その後に漂着する可能性があるので近辺の海上の場合には注意しています。
この日の情報は野島崎の南東5Km。
漕いで見に行くには位置が悪くカヤックで見に行くということはしませんでした。
野島崎沖は黒潮の影響が強く流れのとても速い海域ですし、沖に突き出した地形の更に沖でもあり、もしも流された場合に岸にたどり着ける可能性が低く、さらに大型船舶も野島崎を迂回するために沿岸を通りますから、その点でも危険が増します。
距離としてはカヤックを漕いで行っても1時間ほどの距離ですがリスクが高い海域なのです。
その後に情報はなく、東の遥か沖に流されたのだと思います。
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4日
今年もハマダイコンが咲き始めました。
ハマダイコンは南房総では最も繁栄している海浜植物だと思います。
季節になれば様々な条件の海岸で過密と思われるほどの群落がみられますし、少し隙間があればいくつかの株が所々で花を咲かせています。
とても丈夫なので、世話をする必要もなく、それでいて独特の柔らかい美しさがありますから、いざという時の非常食として庭に咲かせておくというのも良いと思います。
根はダイコンのようには育ちませんし、葉も棘が強くて固いですが食べられないことはありません。
さらに鞘が意外と美味しく食べられるので冬以外はこれで細々と野菜を補えると思います。
食糧危機に備える必要も感じる時代ですので、普段はほったらかしで気楽に花を愛でながら、必要な時には食べられるものを植えておくようにしておくのはこれから安心材料のひとつとなるかもしれないです。
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写真:ハマダイコンの花は春に色が濃い傾向があるようです。













写真:ハマダイコンの花は春に色が濃い傾向があるようです。

5日
この日は朝から雪雲が見られ、予報でも南房総にも雪が降るとのことでした。
海辺も南房総としては結構寒かったですが、鳥たちは活発でした。
いくつかの漂着材木をひっくり返してみたらカメムシやテントウムシにクモ、カタツムリ等が寝ていました。
クモは写真を撮っているうちに起きて来てしまいました。
調べたらヤガタアリグモの♂に似てました。
よりによって寒い日に起こしてしまいました。
漂着材木と言っても砂浜にあるものではなく、過去の大型台風で海岸道路脇に漂着したままになっていたもので、このような高い位置までに達した漂着物は様々な生き物の貴重な冬の家になっているようです。
ヒトにはゴミにしか見えないものが、あるものには命に関わる大切なものである例のひとつでしょう。
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6日
南房総に住んでいると家にいても向こうから野鳥が飛んできます。
今日はミサゴが通過。
我が家は海からそれほど離れていないので、魚を餌にするミサゴが餌場に向かう姿が時々見られます。
内陸でも南房総では多分大抵の家からなにかしらの猛禽が時々は見れるんじゃないかと思います。
その他小さな鳥たちは朝から賑やかですし、庭でもバードウォッチングが十分できます。
自然な海岸と山が残されている南房総の豊かさを鳥が表現しています。
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写真:海岸散策にも良い季節です。写真では小さすぎて見えませんがヒメアマツバメが多数舞っていました。













写真:海岸散策にも良い季節です。写真では小さすぎて見えませんがヒメアマツバメが多数舞っていました。

9日
生物好きな方からしたら今更でもありますが、PENTAX papilioU 8.5×21を導入しました。
機材についてはほとんど書いた事が無いですが、生き物観察にはとてもお勧めと感じたので紹介してみました。
なんと50pの距離でも無限遠でもピントが合うので「足元のミリ単位のクモを観察圧力無しに自然な行動で観察したい」と「遠くて種が判別できない鳥を確認したい」という自分が今望遠鏡に期待する機能が完璧でした。
そして安くて小さいのも助かりますが、少し値段が高くなって重さが増しても良いので防水になると安心ですね。
雨に濡れる条件では双眼鏡を取り出さなければ良いのですが、海岸は常に砂と潮風が舞っていますので、必ずそれが機材の中に必ずいくらかは入り込むので、その点で防水の機材は侵入が防がれるので安心なのです。
使っている一眼レフもデジタルになってからはPENTAXを使い続けていて、最初にPENTAXを選んだのはレンズが古いものもそのまま使えるのが気に入った事と、当時デジタル一眼としては防滴で最も安価だった事がきっかけです。
レンズは簡易防滴のオートフォーカスの基盤が錆びて機能不全、さらには修理不可になって以来、分解して掃除がしやすい同社の古いマニュアルレンズを中古で買って使っています。
結局これが最も長持ちしているし安心だという理由です。重いですが。
カヤックで使う防水のコンデジでさえそうですが、海辺で使うものは壊れやすいので、機能よりも最終的には中古で丈夫なものという選択になります。
高価で丈夫で写りも良い機材も魅力ですが、フィールドでの使う条件が荒々しいので手が出ません。
現代の機材もドライバーひとつで分解清掃しやすく作ってくれたら長く使えて良いですよね。
分解すること自体も楽しいですし、愛着が沸くことにも繋がると思います。
デザインを敢えて時代が遡ったものが結構ありますが、構造や素材も同じように昔に戻した製品が出たら楽しいのではないかと感じます。
ちなみに自身初めてのカメラはSEA&SEAのMOTORMARINE2でした。
1991年の小笠原行きの前に水中で写真を撮りたいと思い買ったものでした。
一眼レフは母が持っていたCANON A-1(1978年発売の当時既に古いカメラでした)をやはり小笠原でクジラを撮るために借りたまま、その後の南房総でのイルカの撮影にも使い、それが初めてでした。
デジタルになるまで一眼レフはこれと中古で安く売っていた同じくCANONのAE-1を予備にして、それだけで済ませました。
海棲哺乳類 」のページのミナミハンドウイルカはA-1とNIKONOS-Vでほとんど撮っていますので興味がありましたら見てみてください。
当初カメラには全く興味がなかったですが、生き物や海岸景観など好きなものの姿を残したいという欲求が生じたことで手放せないものとなり、今では常に持ち歩くというものになっていますし、調査に欠かせないものです。
ただ未だに機材の知識、特に最先端の機能には全く詳しくないですが、それほど凄い写真を撮ろうというわけではないので…。
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写真:彩雲が見られる日が多かったように思います。













写真:彩雲が見られる日が多かったように思います。

10日
先日、カヤックで海上を漂っていた流木を拾って観察してみたところヨコエビと思われる甲殻類2個体が棲んでいました。
流木は海岸に打ちあがったものは沢山見ますが、実際に海上に漂っている流木を見ることは案外少ないのが不思議です。
こういう漂流物に搭乗して航海中の虫やクモもいるんじゃないかという事でいつも気になっています。
今回のヨコエビは漂流生活をしている幼生期にたまたまこの流木に付着して棲むようになったのだと思いますが、幼生時代にプランクトンとして拡散する以外にもこうやって成体が移動しながら繁殖拡散する様子を実見した感じです。
そもそも浮遊物に付着しながら生きるのが基本となっているオキナガレガニという種もいて、これはウミガメにも付着するのでウミガメの産卵上陸痕跡に見つかることもありますし、海岸や海上で見つけた漂流物に付着している姿も普通に見られます。
今回のヨコエビの生態として、こういう浮遊物に付着して暮らすというのがどれくらいの割合なのかまだ調べていませんが、漂流している「ゴミ」にも生きているものが沢山いると考えると先の海岸漂着物の下で静かに冬を越す生き物と同じく自然界にある「ゴミ」を正しく評価してヒトの都合と生き物たちの都合のバランスを考える必要があると言えます。
海上の海洋ゴミを無分別に回収する装置が話題になっていますが、これについてやはり付着生物の生存についての問題提起がされた記事を先日読んだところでした→ The mysterious ecosystem at the ocean’s surface Rebecca R. Helm Published: April 28, 2021 https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3001046
難分解性で偽ホルモン物質を含むプラスティックのような「本物のゴミ」を海洋に放出したことの問題をクジラやカメだけでなく、このような形で微小生物たちが影響を受けているということを忘れて生活し、さらに善意による活動で将来的に問題がさらに複雑化するという悲しい可能性が考えられます。
結論はないですが、それについていつも考えることが必要なようです。
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写真:漂流中の流木に見つかったヨコエビの仲間。













写真:漂流中の流木に見つかったヨコエビの仲間。

12日
この日は館山市街のルートでMTBツアーでした。
市街は自然があまりなさそうに見えますが、沖ノ島はじめ、樹齢800年のびゃくしん等々意外と?いろいろ見るところが結構あります。
自然物以外には戦時中の構造物の遺跡が多数あり、掩体壕などその状態も良好なのでおすすめです。
戦争をしていた時代がそれほど遠い時代ではないことを数字ではなく感覚で理解するには戦跡は貴重です。
そしてそうこう言ってる間に新たな戦争が始まってしまいました。
ヒトは争っていないと生きられないのでしょうか?
しかし生き物の多くも同種同士で頻繁に争っています。
それが生き物の性なのだと思いますが、生き物たちは捕食以外ではほどほどに闘争を済ませます。
同じ遺伝子を繋いでいく仲間であるのだからお互いに損失が大きすぎては意味がなく、ちょうど良い距離感や利害関係のバランスを保つための交渉として生き物は争っています。
ヒトの場合は争いの手前に言葉での交渉ができるのですから暴力を持ち出してバランスをつくる必要はないはずで、そのために言葉や文字が発達したはずですが、実際には言葉がむしろ悪いものを引き寄せる場合が多いようです。
日常でも言葉がなければ起きないトラブルも多いですから、単純に考えれば同じようなものでしょう。
生き物たちのような単純で簡単なコミュニケーションが結局は最も平和的だったという事かもしれません。
この日は連休でしたので、沖ノ島、館山城といった代表的な観光スポットと裏手にあって静かで貴重な場所との人出の差も面白いと感じました。
いろいろな「良いもの」の基準がテレビで作られているのがとても感じられます。
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写真:空気が澄んでいたこの日、館山から見る富士山の右に雪山がいくつか見えました。山に詳しい知り合いの方に南アルプスの白峰三山と教えていただきました。館山市から170q弱。ちなみに富士山山頂は100qほどと意外と近いのです。


















写真:空気が澄んでいたこの日、館山から見る富士山の右に雪山がいくつか見えました。山に詳しい知り合いの方に南アルプスの白峰三山と教えていただきました。館山市から170q弱。ちなみに富士山山頂は100qほどと意外と近いのです。

17日
去年見つけた海辺のオオキンカメムシの集団越冬場所を今年も確認してきました。
少し離れたところで落ちていたオオキンカメムシの死骸には何かの結晶のようなものが噴出したかのように。
何か菌類とかなのでしょうか?
3月16日現在もまだ葉の裏にいるものが確認できました。
彼らにはまだ寒いのですね。
海岸ではツルナ、イソギクがきれいに紅葉していました。
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20日
この日はやっと識別に使えるミサゴの写真が撮れました。
今月は何度もミサゴを見ていたのですが、下を向いてクモを探してるところを後ろからすぐ上を追い抜かれたりという、タイミングの悪い遭遇ばかりでした。
まさに二兎を追う者は一兎をも得ずです。
識別カタログ用の写真はコントラストやシャープネスを強めて加工します。
また真下から撮影できずに通り過ぎていく姿を撮った場合には翼の左右が写っている2枚を合成したりもします。
撮影の現場では翼の状態が様々なので、できるだけ連写して数を撮って最適なものを残します。
ミサゴが運良く真上を繰り返し旋回してくれたりする時には嬉しいですが、重いカメラの負担と撮り過ぎた写真の選別が後から大変ですね。
撮れれば撮れたでこういうことを思うのですから贅沢な話です。
ミサゴの識別調査はいつ完成するとも分からない永久調査といった感じで、続けていればそのうち識別の目も肥えてくるだろうし、何かが突然分かってくるかもしれないという感じでやってます。
ですから今の時点で示している照合写真ももっと目が肥えたころに見たら不正解が多数含まれているだろうなというものですので、ご了承のうえ御覧ください。
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写真:こんなに素朴な入り江がまだ実在するって素晴らしいことだと思います。













写真:こんなに素朴な入り江がまだ実在するって素晴らしいことだと思います。

22日
この日は太平洋岸のハマナタマメの様子を見てきました。
護岸に3つの株があるのですが、2つは単なる枯草という姿になってしまっていますが、根本あたりには青い茎がかろうじて残っていて死んでいない事が分かります。
もうひとつは写真の株で護岸の窪みで冷たい風から守られているようで、なんと葉が青いまま冬を越しました。
護岸の窪みでむしろ暖かに冬を過ごすことが野草にとって幸せでラッキーなことなのでしょうか?
昨年には鞘を付けた株もありました。
繁殖に有利であれば結果的にではありますが、人工環境さえ味方にする強さがあるようです。
不幸にも人工環境で芽吹いてしまった彼らがどう生きていくのか興味深く観察を続けたいと思っています。
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23日
昨年、南房総市の海岸で観察していたクモを馬場様と共有したところ千葉県で初確認と分かり報文を共著投稿し、東京蜘蛛談話会誌 KISHIDAIAに掲載されました。
「千葉県の海岸でイナズマクサグモを採集」藤田健一郎・馬場友希 Kishidaia 120: 39-40.東京蜘蛛談話会
クモのこと、いろいろ発見があってとても楽しくなってきています。
海辺のクモを千葉県でもっともっと追求していきたい!と思っています。
このページ最下に詳細リンクがあります。
当日のTwitter投稿

写真:冬には海岸で集まって過ごすシロチドリたちも、そろそろツガイで行動を始めます。













写真:冬には海岸で集まって過ごすシロチドリたちも、そろそろツガイで行動を始めます。

25日
この日は久しぶりに風が止みそうだったので海面のムシがまだ未探索な内房某所を漕いできましたが、思ったよりも風が吹き続けていて波の中では見つからず。
しかし、ここは静かでほんとに良いとこです。水もきれいですし。
カヤックに乗ると分かるのですが、東京湾内にもこんなところがまだまだあるんですよね。
そして虫を探しながらという新たな漕ぎ目的の中でいつも以上に海面を見つめる機会が多いことから、30年近く漕いでいる場所も新鮮な気持ちで漕げるようになっています。
当日のTwitter投稿

27日
ミサゴの個体識別の照合作業が溜まっています、この日まだ1月の前半のをやっていました…。
1月9日に撮った個体は2016年まで辿れました。
2017年3月9日と2020年12月28日は写真が良くないのもありますが微妙です。
sとhは隣接した海岸なので、2017以外はどれも同じ海域で観察した個体でもありました。
お気に入りの場所とかあるんでしょうね。
当日のTwitter投稿

今月はこんな感じでした。
いろいろなものが動き出しますので、3月からの海は楽しみですね。

写真:砕ける波を見るには台風の季節が良いですが、春の時化は空気が澄んでいてなかなか良いです。













写真:砕ける波を見るには台風の季節が良いですが、春の時化は空気が澄んでいてなかなか良いです。



お知らせ

東京蜘蛛談話会誌 KISHIDAIAに共著報文が掲載されました。
「千葉県の海岸でイナズマクサグモを採集」藤田健一郎・馬場友希 Kishidaia 120: 39-40.東京蜘蛛談話会
ウミガメ調査で通う南房総市の海岸で春先に見つけた見慣れないクモについてクモ研究者の馬場友希様と情報交換し、成体になった秋に採取、馬場様に郵送で同定をして頂き報告となりました。
千葉県では初確認の種ということの報告です。
フリーで公開されていますので、是非ご覧ください。
その他の掲載記事も興味深いものです。
Kishidaia
120: 39-40.(掲載号PDF).
東京蜘蛛談話会
馬場友希様のホームページ「Spider's Web」

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