カヤック日記


2017年1月の出来事



今月は本当によく風が吹きました。
僕ら人間で言うところの活力のような、体力と言うようなものと考えれば、地球のそれは尽きることがないかのようです。
地球の周りのどこかで常に風が吹き、波が立ち、海や川は流れ、地中ではマグマが流れ続けて時折地表にまで噴出するほどの力を持っています。
風が吹くのと同じように地球上のどこかでは必ず常にどこかで大小の地震が起きています。
何より地球そのものが常に自転しているうえに太陽の周りをぐるぐると飛び続けているということなのですから、地球は生まれてからずっと動きっぱなしなわけです。
地球もひとつの生き物なんだと考えれば、疲れないのかな?と不思議に思うほどの風が吹き続けていました。

風がつくる模様。地球の創作活動?




















写真:風がつくる模様。地球の創作活動?

風がこれほど強いと海面上を飛びながらエサを探すミサゴは波でエサを探しにくくなるので、なかなか海にやって来ません。
そんなときは大きな河口に行くとエサを探している姿を見れることもありますが、エサの量、質としては海の方が断然良いのだと思います。
それに南房総にはそれほど大きく、魚の多い川は少ないですから、風が止んだ隙にはすかさず海にやって来ます。
むしろ風が吹き続けているときの方が数少ない凪の日にはミサゴに会いやすくなるかもしれません。
今年はいつものハヤブサの調査を中断してミサゴの繁殖地を探すことに時間を割いてみようかな?と少し考えているのですが、せっかく続けてきたハヤブサの繁殖記録も継続しないともったいないですし、しかし両方は難しいし…。
悩みます。

時化の合間に一生懸命魚を探すミサゴ。両目で同じ方向を見て距離を測ることができる目の配置。




















写真:時化の合間に一生懸命魚を探すミサゴ。両目で同じ方向を見て距離を測ることができる目の配置。

風が吹いて大時化ではフィールドでやる事がなくなってしまいそうですが、そういう時だからこそ見られる可能性があるものもあるわけなので、そういう点では困ることはありません。
ツアー催行という点では安全の問題から困りますが、内容によってはできないこともありません。
海岸散策などは時化て打ち揚げるものが多くなり、港などには避難してきたカモメ類がたくさんいますし、大風の砂浜を歩くのだって面白い経験かもしれません。
シーカヤッカーであれば、大時化の海を観察することが大切だということは前にも幾度か書いていますが、カヤックに乗らない人でもその恐ろし気にしかし美しい大荒れの海を眺める機会は是非作ってみてほしいと思います。
少なくとも都会生活ではこれほどの強大で広大な生の自然の風景を目にすることは無いと思います。
特に時化は地球の体力を感じるには最も手軽で身近なものだと思います。

気嵐に覆われた海面と雪雲に覆われた空。




















写真:気嵐に覆われた海面と雪雲に覆われた空。

台風の風や地震、噴火などと同じような地球の活動としては最も馴染みのある活動ですから、地球を知るということを本やテレビで見るよりもずっと感覚的には理解が深まると思います。
まず海の時化が地球にとっては必要で、自然なもので、我々人にも恩恵を与えていて、さらには美しいものとして感じられるようになれば、台風や地震、噴火といった人にとっては災いでもある地球のその他の活動も、もう少し地球の側から見てみることが出来るようになるのではないかな?と思います。
そうすると自然災害と言われる自然現象に対しての恐れ方が変わってきて、結果的に自分が楽になるのではないかな?とも考えています。
風が吹きっぱなしでカヤックに乗れないとかいう時も、その状況を受け入れてそれなりに楽しむこともできるようになると思います。

私が館山市に引っ越してきた春先には、やはりこのような大風の日ばかりでした。
館山に越せば毎日カヤックが漕げると思っていたのに、ひどくガッカリした記憶があります。
そもそも南房総の冬を全く知らずに越して来たこと自体が今考えれば考えが浅いのですが、おかげで風の続く日々にも慣れましたし、多少の風の中でも漕げるようになったわけです。
地球の活動を「イヤだな。」と思う前に地球の様々な活動にどうやったら自分が合わせられるのかを考えていく方が楽しいなと最近は思えるようになりました。
まあ十分漕いで来ましたし、穏やかな海岸での散策も十分すぎるほど楽しませてもらったうえでですが。

もちろん凪もありました。




















写真:もちろん凪もありました。

そんなわけで今月も時化の日にも時間を作って海を眺めに行ったのですが、面白い「地球活動」を見ることができました。
今月は南房総で2回も雪が降ったりしたのですが、そのうちの14日には夕方に館山市の太平洋岸へ時化た海を見に行きました。
雪はもう止んでいましたが、雪雲が空を覆いこれはなかなか凄い夕日が見られそうだと期待して出かけたのですが、実際素晴らしい景色でした。
海面は一面の気嵐で、水温が高いわりに気温が低いために水面から湯気が湧いているように見える現象です。
朝に見られることが多いですが、気嵐の中の夕日は初めて見ました。

また、この数時間の滞在の間になんと2回も竜巻を見ることができました。
以前にも館山湾内で発生した巨大な円筒状の竜巻を見ていますが、今回ははるか水平線の沖合に発生していながらその大きさが感じられるような巨大なものでした。
時間的な継続は短く円筒が徐々に立ち上っていく状態で間もなく形が崩れてしまいましたが、2回も発生したのには驚きました。
カヤックでは海上にいるはずもないような海況ですから、心配ないですが、もしもカヤックで巻き込まれたらどんなことになるのでしょう?

海上に現れた竜巻。




















写真:海上に現れた竜巻。

時化の日のもうひとつの手軽な楽しみはカモメ類の観察です。
13日には見慣れないカモメに出会うことができました。
ウミネコやオオセグロカモメが一緒に群れて港で休んでいたところを観察したところ、写真左手前のグレーの1羽は一見したところ翼の先端や尾羽までが淡い色で、シロカモメの幼鳥のようでした。
しかしそばにいるウミネコのサイズとオオセグロカモメのサイズで比較すると大柄のシロカモメには見えなくなってきました。

もしかしたら、日本では稀にしか見られないアイスランドカモメにとうとう出会えたのかな!!!???と期待して写真を撮りました。
写真を見直しても、いまひとつ自信が持てませんが今までに見たシロカモメとはやはりサイズ感が違っていて、あとは頭部の暗い色合いも気になります。
今までにも「アイスランドカモメでは!?」という個体をいくどか見てきましたが、結局よく分からずにシロカモメだったということで片づけてきました。
しかし今回は「たぶん、きっと、もしかしたら念願のアイスランドカモメ…の可能性あり」ということにしました。
慌てて決着をつける必要もありません。
でもやはり、いつか由緒あるカモメ屋さんの誰かに「正解!」と言ってもらえると良いのですが。
もしくは回数を重ねて見慣れることで、自信を持てるようになるはずですから、もっとたくさんアイスランドカモメを観察したいところですが、日本でそれは無理なので、インターネットで他の方が撮影した写真をできるだけ多く見るという事が大切と感じています。

アイスランドカモメらしき幼鳥とウミネコなどカモメ類たち。




















写真:アイスランドカモメらしき幼鳥とウミネコなどカモメ類たち。

カモメ類は一見同じようでいていろいろな種が混じって群れています。
似たようなカモメ類でもその分布は大きく違っていたり、よく見るといろいろな形態的な違いもあり、身近でありながらなかなか面白い対象なのです。
もし少し興味を持たれた方がいましたら、今度海辺に、特に冬の海辺に行かれるときにはカモメの群れを改めてゆっくり見てみてください。
大きいの小さいの黒っぽいの真っ白なのいろいろなのがいると思います。
夏はほとんどがウミネコだけですから、冬にどうぞ是非!

風が強い冬の日には富士山と夕焼けと星空がきれいです!




















写真:風が強い冬の日には富士山と夕焼けと星空がきれいです!

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