カヤック日記


2013年4月の出来事


トベラの花 毎年4月は同じようなネタですが、考えようによっては毎年同じように季節がちゃんと巡って、同じ季節、同じ場所に、同じ生き物がやって来るという事ですから、良いことなのかもしれません。
海岸には様々な花が咲き始めました。 春の初めから咲き始めていたハマダイコンに続いてトベラ、ハマグミなどの低木の花が咲き、特有の香りを漂わせ始めました。
砂丘にもハマヒルガオ、ハマニガナが少しずつ開花し始め、スナビキソウ、ハマエンドウと続き、月の後半にはハマボッスの花も見ることが出来ました。
南房総は自然に近い状態の砂浜海岸が所々に残っていて、自然な状態の海浜植物を見るのにも適しています。

これらの花の開花に合わせる様にチョウやハチ、その他の吸蜜性の昆虫が集まって花の周りは賑やかです。
海岸で昆虫観察している人に出会う事は少ないですが、意外といろいろな昆虫がいて楽しめます。
毎年恒例のスナビキソウに集まるアサギマダラはまだ集結には至っていませんが、1頭が飛翔しているところは確認できましたので、間もなく集まってくるのでしょう。
来月の日記でまたご報告できるかと思います。

咲き始めたスナビキソウ










強風が吹き続く日も多かったですが、これも季節を感じるには大切な気がします。
鳥たちもこういう天候の変化などを体で感じて季節移動を始めるのでしょうか?風の日の合間を縫って北へ帰っていく鳥たちの姿が良く見られました。
ウミウやヒメウはきれいな三角の群れをつくって、特に風の強い日には内陸の上空を飛んでいく姿も見られました。


ウミウの群れ カモメ類は群れのような群れで無いような緩やかな縦長の群れになって沿岸の低空を飛んで行きます。
移動がのんびりのユリカモメは月の後半には既に夏の羽色になっていました。
写真のように頭だけ黒く染まっていて、よーく見ると眼の回りは白く、なんだか面白い顔になっています。

南房総の海岸線で繁殖する鳥たちはソワソワガヤガヤしていて、例えば目立つのはどこにもいるハシボソカラスですが、海岸に近い森にも巣があって餌を求めて海岸にもよく出没するようになります。
ウミガメの死骸が打ちあがっていたときにもいつも以上にたくさん集まっていて遠目にもカラスの様子で何かが打ちあがっていることが分かりました。
同じく身近なスズメも岩場の穴に巣をつくり、春から夏にかけては岩場でよく見かけるようになります。
なんとなく景色と不似合いな感じもします。



夏羽のユリカモメ ハヤブサやトビも海岸線の特に崖上などに巣を作っています。
今年は2年ぶりに内房某所のハヤブサの繁殖観察を始めました。
今年は海からでないと観察できない場所に巣が作られた様子で、つがいが周辺で常に警戒をしている姿が見られます。
写真下は巣の向かいにある木に留まって巣を監視している様子のハヤブサです。

崖の中腹にある穴にはイソヒヨドリの巣があり、親鳥は頻繁に出入りして餌を運んでいます。 出て行ったと思うと間もなく戻ってきて虫を咥えているので、ハンティングの効率の良さに驚きます。
イソヒヨドリはハヤブサの餌にされる様子が無く、ハヤブサの巣の近くにも平気で巣を作っていたりします。 ハヤブサの巣の位置を把握した上で行動すれば捕獲されにくいように行動できるのでしょうか?
また崖に沿うように小刻みに飛んでいるのでハヤブサの急降下攻撃が難しいのでしょうか?イソヒヨドリはそれも分かっているのかもしれません。


木に留まっているハヤブサ 餌となるのは大抵通りすがりのハトのようです。ハトはハヤブサが崖の上で待ち伏せしている事も気付かずにその下を通り捕獲されてしまいます。
このハヤブサは繁殖期と冬で行動範囲が少し変わります。暖かい季節の繁殖は北に面した崖で、冬には南に面した崖にいます。
個体識別できるわけではないので同個体か分かりませんが、この周辺に何羽もいる様子は無いので同じつがいだろうと考えています。 北向きに巣をつくるのは巣もあまり暖かすぎるのは問題なのでしょうか?それとも単に安全な場所ということを優先しているのでしょうか?
冬に南岸にいることが多いのは単に暖かく、同じように餌生物も見つけ易いと言う事なのだと思います。

来月にはハヤブサのヒナの激しい鳴き声が聴けるかもしれないと思うととても今からとても楽しみです。




布良の夕焼け
























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