カヤック日記


2002年10月の出来事!

今月もいろいろあったけれど、やはり28日に起きた館山でのストランディングが一番のニュースだった。ちょうどその前日には洲崎の磯場で鯨類と海亀の骨を拾ったばかりだったが、まさか次の日にストランディングがあるなんて想像もしていなかった。友人が拾った鯨類の下顎は「海の哺乳類FAO種同定ガイド」NTT出版を見る限りではハンドウイルカのようだった。他にも脊椎が数点見つかった。 記録撮影のため骨を並べる友人

海亀の骨は比較的頻繁に拾うものだが今回は1日で拾った数としては最も多かった。これらは通常、撮影したら置いて帰る。あまり持って帰ってもいろいろと困る。ただし博物館や調査機関などで資料になりそうなものは一応持ち帰り、問い合わせて必要であれば郵送したりする。

海岸で拾う骨は最初は気味悪いもののひとつだった。しかし、その骨がどのような動物のもであるかが分かれば、その海域でその種が存在する証になるのだから、写真を撮っておくくらいの価値はあるはずだと思い始めてから興味を持った。ストランディングの成れの果てとも言える。死んだ動物はかわいそうだが守るべきそれら動物のことを知る機会になる。

海亀の死体が漂着した時には、その後何日もかけて波に洗われ風に吹かれて徐々に骨になっていく様子をその海岸に通いながら見続けていくと、どれがどこの骨みたいなことが大雑把に分かってくる。解剖という方法もあるけれど私のような素人がやる解剖は子供の頃にやった壊れた時計の分解のようで亀に申し訳ない。それならば自然に土と海にかえってもらったほうが良いと考えていた。しかし最近、漂着した海亀を解剖し詳しく調べている人に出会うことができたので、報告し調査をしてもらえるようになった。

ストランディングしたハナゴンドウ

鯨類などの海棲哺乳類に関しては国立科学博物館の山田 格博士のチームが日本中に揚がったものを詳しく調べている。今回のストランディングも発見早々に先生に連絡し夕方には新宿にある国立科学博物館分館で解剖が行なわれた。先生率いるメンバーはこのように頻繁に予告もなくやって来る動物の調査に追われているようであった、日本中の現場にも飛んで行く。幾つかのストランディングが重なると、それは時に想像を絶するスケジュールになる。このような人達の努力が分かりにくい海の動物のことを知る上で大切な仕事のひとつなのだと知り、私も少しでも協力していきたいと思った。

今回、館山に打ち揚がったのはハナゴンドウで2.75mの雄だった。私がたまたま通りかかり発見した時、既に死んでおり波打ち際で波に洗われていた。他にも発見通報がありパトカーが到着していた。死んで間もないようで目が澄んでいた。以前、館山の港に迷い込んだハナゴンドウを間近で観察したことがあるが顔は見えなかった。改めてじっくり見る機会になったが、大きく傷だらけの体に似合わずこんなにかわいい顔だったのかと思った。せっかく館山に来ていたのなら元気なときに海上でカヤックに乗りながら出遭いたかったなと思った。

このハナゴンドウに関する詳細は以下をご覧ください。


国立科学博物館 海棲哺乳類情報データベース URL http://svrsh1.kahaku.go.jp/
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